Bookness and Thereness 本と出版と情報とその周辺のニュースまとめ

毎日の出版業界・図書館・情報学関連のニュースをまとめたブログです。扱う領域は書店・出版社・図書館・取次・本(電子書籍も)とその周辺について。

2019/07/07 【有志舎】アマゾンとの直接販売契約(「e託」と呼ばれるもの)を6月30日をもって解約しました。(※アマゾンと出版社間の、e託関連の経緯まとめあり)

【有志舎】アマゾンとの直接販売契約(「e託」と呼ばれるもの)を6月30日をもって解約しました。

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理由は、e託に関して数ヶ月前にアマゾンから、交渉の余地のない条件変更通知(有志舎が不利になる変更)があり、それをそのまま吞むことはどうしても出来なかったということによります(もちろん、条件変更はうちだけでなく、色々な出版社に届いていると思います)。そうしたら、早速、120冊くらいの返品が本日届き、アマゾンのサイトでは有志舎の殆どの本が「カート落ち」(アマゾンに在庫がなく、マーケットプレイスの中古でしか買えない)状態か、注文はできても「1~2ヶ月以内に入荷」というひどい表示になっています。

とはいっても、今はまだ移行期だからで、少ししたら普通にアマゾンでも販売されるようになるのかもしれません。実際に、新刊である『加賀藩明治維新』はアマゾンから数十部の発注があったと、取次会社から連絡があり、普通に十数部を在庫させて販売しています。では、既刊書はどうなるのか、まだ分かりませんが、アマゾンも合理的に考えれば、マーケットプレイスで中古を買われるより、自分で仕入れて売った方が儲かるわけですから最低1冊は並べておいた方がよいと判断するように私は思います。が、今後チェックしていきたいと思います。

そして、何よりもお近くの書店さんで買っていただければと思います(有志舎の本を置いてあるのは大規模書店や大学生協・購買会だけになってしまうかもしれませんが)。どうぞ、よろしくお願い致します。

 

 

■2017/04/28に、アマゾンは日販および出版社に対して、2017/06/30を以って「日販が在庫していない書籍は、出版社に対しても発注を行わない(バックオーダー中止)旨の通達を行いました。


同時にアマゾンから各出版社へは、代わりにe託(直接取引)を利用するように案内されていますが、その場合の正味は60%(+送料・返品は出版社負担)となっています
https://www.amazon.co.jp/gp/seller-account/mm-product-page.html?topic=201463220)。なお、正味や送品などに関する条件は、今回のように、後日一方的に変更される可能性があります。


下記に、e託(直接取引)に関する過去記事を時系列でまとめています。アマゾンが発表した後、出版社は否定したものなども含まれますが、アマゾン、取次、出版社それぞれの立場での考えと、これからについての参考になるかと思われます。

 

KADOKAWAとAmazonの直取引は書籍流通改革の狼煙となるか?(2015/06/17)

zuuonline.com

 

アマゾン直取引&「取次外し」で出版社が大幅売上増…取次、無用の長物化で存亡の危機(2016/05/27)

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知り合いの小零細出版社は迷いもなく、アマゾンと直取引を開始しました。「1年後は正味が66%から60%になるかもしれない、それでもいいのか」と聞くと、「小零細出版社にとって、このタイミングを逃すと66%という話はもうこないだろう。確かに、1年後にそうなるおそれもあるが、書店での売上が落ちていく以上、ネット書店の売上を上げるしか選択肢はないのではないか」と話していました。

 

アマゾン、本を直接集配 発売日に消費者へ 取次・書店介さず(2017/03/22)

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アマゾンジャパン、日販非在庫書籍取寄せ発注を6月30日で終了(2017/05/01)

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非在庫書籍の入荷ルートを今後も保持するためには出版社と取次会社双方が単品レベルでの煩雑な注文管理が必要になることや、「大阪屋栗田経由でバックオーダー仕入れの対応をしても欠品率改善の根本解決にはならない」ことから、直接取引を推奨している。すでに同社仕入れ全体の約3割は直接取引分だという。

 

アマゾンのバックオーダー発注の件について小零細出版社が考えるべきこと(2017/05/01)

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Amazonの宣戦布告 取次通さず出版社との直接取引で攻勢(2017/05/06)

zuuonline.com

 

「アマゾン、日販バックオーダー発注中止に思うこと」(2017/05/17)

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結局は出版業界が今まで長い間ないがしろにしていた部分を突きつけられた感じがしているわけです。注文した物が「いつ入荷するか」「希望部数が満数入荷するか」「本当に在庫があるのか」などの不満に対して自分自身も「こういう業界だから仕方がない」と考えていたのではないか。また客注取り寄せの敷居の高さなど様々な問題点を先送りにして、そのツケを書店とエンドユーザーに回していた結果かもしれません。

 

アマゾンジャパン「バックオーダー」終了で出版社2000社余に説明会(2017/05/22)

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あわせて冊子『Amazon・co・jp和書ストアの仕組み』を作成。この中で同社が書籍の既刊書や新刊書を発注する方法や、取次の引当率、問題点などをあげ、直接取引のシステム「e託販売サービス」の利用を呼びかけている。

 

アマゾンの「バックオーダー発注」廃止は、正味戦争の宣戦(2017/06/01)

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それにしても今回の「バックオーダー発注廃止」は急で乱暴な施策に見える。通告メールの文面にも焦りが垣間見え、「3月期の利益が取次対応の遅れによる売り逃しで毀損された」からだと主張している。(略)より説得的な答えは、「配送料の値上げにより利益が圧迫されるので、別途利益を上げる見込みを立てて早急に本社に報告しないと、日本法人の評価が下がるから」だろう。

アマゾンの発注判断は遅い。判断に人間を介さないため、需要が急激に伸びた場合にもその要因がパブリシティなのか、ネットのバズりなのか、その需要はいつまで続くのかという読みを外部情報に求めることをしていない。したがって、自サイトでの顧客の行動を見て、「売り逃し」が続いてから発注を増やすという行動になる。この入荷遅れと発注遅延という行動様式は、e託を導入しても基本的に解決しない。「いま寄越せすぐ寄越せ、寄越さないならペナルティだ」とクレームする先が、取次から出版社になるだけである。

アマゾンの要求は単純だ。「扱ってほしければ情報を出せ。情報を出したらカネを出せ。カネを出したらもっと出せ」ということだ。出版社、ディスカバー21の干場社長の証言がある。2014年10月のものだ。

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「これまでは大型パブや広告がある場合、前持って出版社の方で手動で在庫を増やすように指示できたのですが、10月1日より、今後、全てそれまでの平均売り上げによる自動補充にするという通知が10月を過ぎてからただ1通ポーンと送られてきました。それが嫌なら、去年からアマゾンが出版社に持ちかけているパートナー契約を結べと。つまり年間600万円以上の契約料を払えと。それはアマゾンによる一方的な評価基準により価格が決まるもので、売り上げに準じたものではない。今回の処置は、パートナー契約を結ばない出版社への締め付けとも受け取れます。」


この書きぶりからすると、ディスカバー21はおそらくe託を利用しているのだろう。というか、取次を利用せず書店と直接取引するのが、柳原書店破綻以降の同社のスタンスである。「在庫を増やすように指示」などが出来たところからすると、導入当初はあるていど優遇されていたようだ。しかし、依存度が高くなったとみると掌を返す。大変合理的な行動だ。e託の正味60%もいつまでも固定されるとも限らない。

「e託で条件が切り下げられたら、取次取引に戻せばいい」。そういう意見もあるだろう。「みんながそうやったあと、取次は数年後も残っているのか」という問題はまず措く。


それにしても、アマゾンは裏切り者を許さない。海外での事例は、反目した出版社の商品に対して注文ボタンの撤去や検索結果への非表示など、アマゾンが自社サイトの優位性を最大限に活用した実力行使を辞さず、読者の利益を損ねることをものともしないことを我々に教えてくれる。


「e託やってたんだけどさ、不利になってきたからやめたよ。e託しなくてもそんなに不都合ないよ」などと公言する出版社の存在が、アマゾンの戦略にとってどれだけ目障りかを考えてみよう。個別取引の合理性などかなぐり捨てて「アマゾンから離れた出版社は倒産した」という事例をつくりにくることは覚悟しなければならない。複数の出版社でこの問題を訴えようにも「e託契約」も「パートナー契約」も、すべて明細は秘密保持契約(NDA)の向こう側にあり、その訴訟リスクが情報共有と連帯を阻む。

 

それでは計算いたしませう(続・アマゾンの「バックオーダー発注」(2017/06/18)

anond.hatelabo.jp

業界紙新文化』5月25日号記事「アマゾンジャパン、「日販バックオーダー発注」停止の真意/バイスプレジデント・村井良二氏、事業企画本部長・種茂正彦氏に聞く」でも、日販に在庫要望を繰り返したことは明言されている。
この記事で可笑しいのは、アマゾンが40万点やら200万点やらのアイテムについて「精度の高い需要予測を持っていて、その数量の在庫を持つよう日販に求めたが、応じてもらっていない」と不満を述べているところだ。この主張こそが、アマゾンが求めているものが読者の利益でも流通の速度や確実さでもないことを裏付けている。

それだけ確度の高い予想をもっているのであれば、現在の在庫を3~4倍増し、6~8週間の需要予測分を仕入れて在庫すればいい。調達日数は8-10日くらいなのだから、需要のスパイクもほとんどがそこで吸収でき、欠品率は80%以上向上するだろう。アマゾンは「ロングテール」を誇っているのだから、たとえ予測が大きく外れても、100週間くらいのうちにはあらかた消化できる。もちろん経費はかかる。しかし駅前やロードサイドの一等地に店舗を構える書店にくらべれば、はるかにコストもリスクも低い。しかし、その在庫経費を日販に求めようとする。お門違いとしか言いようがない。

だから、前回に言ったとおり、アマゾンが求めているのは経費の負担であり、流通の改善などではない。これは正味戦争なのだ。

週5回2~3か所に宅配便で出荷する経費は、送料・梱包手数料・資材費を計算するとかなり大きな割合を占める。60%掛に切り下げられたときに、実正味がいくらになるのか。それはアマゾンでのカゴ落ち失注を防ぐ(e託で防げるとも限らないが)ことで割にあうのか。宅配便の追加納品先が突然鳥栖に切り替えられても大丈夫か。冷静に計算してみることが必要だろう。
アマゾンでの失注は、100%が失われる売り上げではない。そのうち、切実な需要の分は、他の身銭を切って在庫をもっていたり、迅速な調達に努力していたりする書店にまわるのだ。アマゾンが在庫と調達に不熱心な書店である事実が広まれば、その率はますます高まるだろう。


某Amazonの帳合変更に関する説明会に参加してきた。(2017/06/12)

Amazonの誘いに乗った版元は300社程度あるそうで、今後増えるかどうか。あの正味では専門書系版元は乗りたくないだろうけど、取り寄せ注文はしないというのであれば、致し方無しと参加するのだろうか。

 

【ウラゲツ☆ブログ(月曜社)】メモ(25)(2017/07/25)

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バックオーダー発注停止から1ヶ月経とうとしている今、不思議なのは、アマゾンが在庫を持っていない商品についても買い物カゴがまだついている、ということです。いわゆる「カート落ち」になっておらず、取寄せ表示になっています。(略)「一時的に在庫切れ、入荷時期は未定」と表示していても、買い物カゴがついているケースを7月半ばまで見かけました。これはおかしい。取寄せはしないんじゃないの?取寄せ発注しないのに在庫復活は無理でしょう。

アマゾンにとってもカート落ちは怖いのだと見えます。それはそうでしょう。今のままアマゾンが発注をやめていれば、直取引版元以外で、日販ともMD契約をしていない版元の銘柄は間違いなくガンガン「カート落ち」します。驚いてしまうのは、「ロングテール喪失」のリスクというごく当たり前の展開を、アマゾンがさほど真剣には考えてこなかったらしいことです(アマゾンへの「誤解」が解ければ、出版社は直取引に応じるはずだ、という期待も、今となっては甘すぎました)。日販経由のバックオーダー短冊は止まったものの、日販のウェブブックセンターへの発注は止めていないのではないかと私は想像しています。

 

【ウラゲツ☆ブログ(月曜社)】メモ(26)(2017/07/28)

urag.exblog.jp

品切本や旧版まで含めてアマゾンは日販に在庫しろ、と言っている(に等しい)のでしょうから、無茶にもほどがあります。日販さんはもっと怒っていいはずです。だって本当に無茶苦茶なんだから。アマゾンの発注方法に合理性を感じないなら、はっきりとそう内外に説明すべきです。

 

版元ドットコム アマゾン「バックオーダー終了」で調査 直取引が41%余に増加(2017/08/17)

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アマゾンへの納品方法では、取次経由がバックオーダー終了前の6月までは47社(78・3%)だったが、7月以降は38社(63・3%)に低下。一方、直接取引の「e託販売サービス」の利用(一部商品の利用を含む)は6月までが17社(28・3%)だったが、7月以降は25社(41・7%)に増加している。

 

そういえば昨日、Amazonの説明会に行ってきたのだが、相変わらずの日販さん批判と、日販さんからの調達データしか版元側に渡さないというのはアンフェアだと思った。(2017/08/26)

e託がらみだと正味ではなく、Amazon倉庫への納品運賃についての提案というところに彼らの焦りを感じたかな。

 

アマゾン、出版取次外し加速 印刷工場から直接調達(2018/02/01)

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Amazonによる取次外し? 電子書籍との関係は?「正味」を巡る駆け引きがもたらすもの(2018/03/09)

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アマゾンは直接取引の掛率=正味を60%としている。他の書店と同様の掛率であれば、これまで取次から既に約70%ともされる掛率で商品を仕入れていたところを、60%で仕入れられるようになるのだから、アマゾンとしては直接取引を拡大したいのはごく自然だ。業界では、この直接取引=e託の採用を出版社に促すために、日販からの調達を絞り込んでいるのではないか、という見方が一般的だ。実際、60%以上の掛率をアマゾンから提示されている出版社もあるという。

 

「本を買うならアマゾン」はなぜ危ないか “取次”に取って代わる日は近い(2018/05/22)

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今年2月2日に開かれたアマゾンメディア事業本部書籍事業方針発表会によれば、2017年の1年間で、760社が新たに直取引(部分も含む)を導入したという。そのうち、アマゾンとの取引高が1億円を超える会社は55社。直取引の導入出版社数は、累計2329社にものぼるとアマゾンは自称している。

 

 アマゾン 書籍買い切りへ 出版社と直接取引試行 売れ残り値下げも検討(2019/02/01)

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幻戯書房が正味下げを宣言した理由、田尻勉社長に聞く(2019/04/10)

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今のところアマゾンと直接取引はしていませんが、一昨年、アマゾンが取次へのバックオーダーを停止して以来、「e託販売」に参加するよう、たびたび働きかけを受けています。「e託販売」は出版社の出荷正味が60%なので、今後参加するかどうかは別に、取次に卸すのも、書店と直接取引する場合も、同じ条件を提示すべきだと考えました。

 

アマゾンは出版業界の脅威か 「外来種」の活力生かせ(2019/06/26)

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取材では、アマゾンに対する出版社の強い警戒心に今さらながら驚いた。電子書籍での出版社の取り分などを巡り、国内最大書店のアマゾンから、取引条件の変更を突然通告されたと批判する出版社がある。大手出版社幹部は「買い切りでも、最初は良い条件を出してきて、次第に悪くなるのではないか」と不信感をあらわにした。